サラリーマン個人が出来る節税ではないのですが、会社が社員に提供出来る節税対策として「借り上げ社宅制度」なるものがあります。日本のサラリーマンが大きく節税できる方法で私が思い浮かぶのはこの方法だけです。レントプログラムと呼ばれることもありますが、社員の代わりに会社が賃貸契約を結び、社員に社宅として提供します。家賃は給料から天引きして支払われます。これの面白いところは、源泉徴収や確定申告の際の給与所得が「契約上の年収 ー 家賃」となり実際の年収より下がることです。例えば年収2千万円の人が家賃に年間400万円使うとしましょう。借り上げ社宅制度を使うと年収1600万円となり、家賃ゼロということになるのです。
この借り上げ社宅制度でどれくらい節税になるか見てみましょう。
同じ年収から家賃と税金を引いた額の比較ですが、引く順番が違うだけでこんなにも差が出ます。
税引前契約年収額 | 年間家賃額 | 借上社宅制度利用時の額面年収 | 借上社宅制度無しの手取り(家賃差引後) | 借上社宅制度利用時の手取り額 | 節税額 |
1000万円 | 200万円 | 800万円 | 512万円 | 591万円 | 79万円 |
1500万円 | 300万円 | 1200万円 | 700万円 | 829万円 | 129万円 |
2000万円 | 400万円 | 1600万円 | 868万円 | 1054万円 | 186万円 |
3000万円 | 600万円 | 2400万円 | 1146万円 | 1476万円 | 330万円 |
3000万円 | 1200万円 | 1800万円 | 546万円 | 1161万円 | 615万円 |
どうせ税金でどられてしまうならもっといい所に住もうという気持ちになりますよね?
外資系投資銀行は借り上げ社宅制度が標準でありますから、結構良いところに住む人が多いです。この制度がある会社に勤めている方は必ず活用しましょう。
尚、シンガポールの金融機関にはこのような制度はありません。借り上げ社宅制度として会社が提供した社宅も社員の収入として課税されますので節税にならないからです。