コロナがアメリカでも猛威を奮った結果FRBがゼロ金利制作を取り、米長期金利(10年)が1%を切る事態が続きました。私が保有していた48年満期のSTRIPS債(ゼロクーポン米国債)も利回りが1.2%くらいまでになったと記憶しています(購入時は3.2%前後)。つまり、$4,000以下で購入し、満期まで約30年待つと$10,000になるSTRIPS債の値段がたったの2年で$7,000を超えるくらいになってしまいました。別の見方をすると、$7,000から$10,000になるのを約27年も掛けて待つのは効率が悪すぎるな、と考え始めました。そうこうするうちに、私が採用した「オール・シーズンズ・ポートフォリオ」を提案したレイ・ダリオ氏も「債券に投資する価値が無くなった」というような記事を発表しました。この記事を受けて債券の代替となる商品を検討しはじめました。
条件としては:
- S&P500の大幅下落局面でもなるべく相関性の低い動きをすること
- 長期的に年平均2〜3%のイールドが安定的して期待出来ること
これらの条件を最も良く満たすと私が考えたのが米国のディフェンシブなバリュー株です。S&P500におけるテクノロジー株の比重がどんどん高くなっていっていたので、バリュー株で少しバランスを取りたいと感じていたことも後押しとなりました。
検討した結果、所有していたSTRIPS債の75%を売り、下記の個別株を購入しました。AT&Tは7〜8%の高配当が魅力でしたが成長性に疑問を持っていたため、比率を他の銘柄の1/5程度にしています。
これらの株は過去27年間で株価が5〜40倍になっていますから、$7,000が$10,000になるだけのSTRIPS債よりも遥かに大きいゲインが期待できます。当然リスクはSTRIPS債より高いですが、バリュー株の方が投資妙味があると判断しました。
再構成後のポートフォリオは下表の通りです。
種類 | 推奨割合 | 推奨される商品 | 再構成後の割合 | 再構成後の商品 |
株式 | 30% | S&P500連動ETFや投信 | 30% | Vanguard S&P 500 ETF(VOO) |
中期債 | 15% | 7〜10年物の米国債 | 0% | 10〜15年物のSTRIPS米国債 |
長期債 | 40% | 20〜25年物の米国債 | 10% | 25〜29年物のSTRIPS米国債 |
米国バリュー株 | 45% | PG, JNJ, KO, MCD, XOM, T | ||
金 | 7.5% | 金ETF | 10% | SPDR Gold Shares(GLD)10%分 |
コモディティ | 7.5% | コモディティETF | 5% | iShares S&P GSCI Commodity-Indexed Trust(GSG)5%分 |
2022年1月の下落局面でのパフォーマンス
ポートフォリオをSTRIPS債からバリュー株に大幅に置き換えて初めての下落局面が2022年1月。約1割ほど値段を下げたS&P500とは異なり、バリュー株はほとんど値段を下げませんでした。逆にエネルギー株の代表であるエクソン・モービルは大きく値段を上げ、PGも少し上げました。S&P500のヘッジとしての機能をきちんと果たしている様子が今の所伺えたので安心しました。
尚、2021年の6%のインフレFRBはこれから段階的に金利を上げていくことを示唆していますので今年と来年は動向が変わると思いますが、しばらくはこのポートフォリオで様子を見たいと思います。
(尚、このポートフォリオはIB証券のみで約5千万円分運用しており、他口座では別の運用の仕方をしています)