mynextlifeのブログ

まだ小さい子供二人を育てながらFIREを目指しています。

オール・シーズンズ・フォリオ

Tony Robbins氏の"MONEY Master the Game: 7 Simple Steps to Financial Freedom" (2016)の目玉の一つに、レイ・ダリオ氏から聞き出した「オール・シーズンズ・ポートフォリオ(全季節型ポートフォリオ)」があります。レイ・ダリオ氏率いるブリッジウォーター・アソシエイツは世界最大の資産運用会社であると同時に、リーマンショックの時でも利益を出していたとされるオール・シーズン・ポートフォリオと呼ばれるポートフォリオがあるそうです。オール・ウェザーの方はレバレッジ等を使用した高度なポートフォリオのようですが、一般向けにETF等で誰もが構築出来るポートフォリオにおけるアセット・アロケーションをレイ・ダリオがインタビュー中に考えて著者に答えたものが「オール・シーズンズ」です。

根底にある考え方に、アセット・アロケーションは「リスクをバランス」することがあります。どういう意味かというと、「バランス型」で典型的なものに株式50%、債券50%というものを見たことのある方も多いと思います。一見半々でバランスが取れているように感じられますが、これはあくまで評価額がバランスされているだけで、株式のリスクは債券の3倍という想定で考えるとリスクはバランスされていないというのがレイ・ダリオ氏の主張です。従って、株式のリスクをバランスするために債券の割合を増やしてやらなければならない。そしてインフレ対策にコモディティも少し入れる、というのがオール・シーズンズ戦略の要旨になります。具体的な配分率は下の表の通りです。債券が55%、金・コモディティが15%と株式の割合が少なくなっています。

種類 割合 推奨される商品 実際に私が購入した商品
株式 30% S&P500連動ETFや投信 Vanguard S&P 500 ETF (VOO)
中期債 15% 7〜10年物の米国債 10〜15年物のSTRIPS米国債
長期債 40% 20〜25年物の米国債 25〜29年物のSTRIPS米国債
7.5% ETF SPDR Gold Shares(GLD)10%分
コモディティ 7.5% コモディティETF iShares S&P GSCI Commodity-Indexed Trust(GSG)5%分

本格的な資産運用を始めるときに、これまでのシンガポールドルの貯金をインタラクティブ・ブローカーズ証券というアメリカの証券会社の口座で構築し、シンガポールで働いていた時の給料から割合を保つように積み立てていました。

ここで注目していただきたいのは債券に米国債ETFではなく、ゼロクーポン債と呼ばれるSTRIPS債を購入したことです。インターネットでよく見る英文の記事ではVGIT(Vanguard Intermediate-term Treasury Index Fund)とVGLT(Vanguard Long-term Treasury Index Fund)を使って構築する例を示されていましたが、私はETF米国債の配分を賄うことに疑問を持っています。理由は、30年後にいざ現金化しようと思ったときにETFの値段がどうなっているかわからないからです。債券ETFの値段は金利次第で上がったりも下がったりもします。金利が上がって売却時に損益を出すのが嫌でしたし、毎月利子を受け取るのも嫌でした。(シンガポール在住だと33%源泉徴収されます)一方、STRIPS債であれば30〜35ドル前後で買って30年後には100ドルになって償還されるという仕組みですから、満期までの評価額に一喜一憂する必要はありません。満期に近づけばほぼ100ドルになることは米国が保証してくれているのですから。私が購入した頃、30年もの米国債の利回りは3.2%〜3.4%くらいだったので、30年後に約3倍になって償還される見込みでした。

暴落時のパフォーマンス

COVID-19で世界が大騒ぎをした2020年3月頃、S&P500は30%ほど暴落しました。この時、逆にSTRIPS債は爆上げし、オール・シーズンズ・ポートフォリオは株式暴落時も評価額はほとんど減りませんでした。この時身を持って、5千万円ほどで構築したオール・シーズンズ・ポートフォリオの有効性を実感することが出来ました。S&P500は1ヶ月で元の値段に戻り、あっという間過ぎてほとんど買い増しできませんでしたが、マーケットが3割暴落しているときに自分の資産が減らない、逆に増えたりしているのを見るのは精神衛生上とても快適でした。この時は株式の暴落時に債券の値段が上がったという動きをしてくれたため、株式少なめのオール・シーズンズは功を奏したと思います。

空前の低金利時代でも米国債か?

世界に広がり、長引くコロナ禍のなか、米FRBによるゼロ金利政策により米国債の利回りは一気に下がりました。思い出す限りでは一時期30年国債でも1.5%程度になり、80ドルで買って、30年後に100ドルになるというような、非常に低い利回りとなってしまいました。当のレイ・ダリオ氏も米国債には投資する価値が見いだせなくなったと発言する事態に。この状況下でSTRIPS債を保持するかどうかは大いに悩み、最終的に大部分を売却して別の商品に代替することにしました。その話は別の記事で紹介します。